多摩源流小菅村×YADOKARI


タイニーハウス小菅デザインコンテスト2018結果発表


全国及び海外からも参加を頂いた「タイニーハウス小菅デザインコンテスト2018」の選考も無事完了し、ここに結果を発表する運びとなりました。このコンテストにご支援を頂きました全国のタイニーハウス愛好家の皆様に心より感謝申し上げます。誠に有難うございました。

 

第2回デザインコンテストは応募登録総数356名、作品提出者124名と昨年の2.5倍の方々より作品の提出を頂きました。作品のレベルも格段に上がり審査も難航するほどでした。審査に当たっては小菅村当局者以外に昨年度の受賞者や、日本のタイニーハウス文化をけん引する「YADOKARI」様の協力を得て実施いたしました。

 

今年度は「森林(自然)の活用」をテーマに掲げてコンテストを開催、村の最大の資源である森林や自然をいかに有効活用していくか、森林との共生やオフグリッドの考え方等を求めたデザインコンテストとなりました。

地球温暖化の低減、人口減少時代での住宅のあり方、自然環境との共生等私たちの周りには解決すべき問題が多数散見しています。これらの問題の解決方法としてタイニーハウスを通したデザインコンテストを実施しました。「森林(自然)の活用」を考慮した住まいはどうあるべきか、様々なアイデアが提案され、これらの作品は非常に質の高い作品となりました。デザインコンテスト2018の審査結果は以下の通りです。

 

小菅村では皆様からの熱い思いを形にすべく、今年も何作品かを建設して行きたいと考えています。また、タイニーハウスは今までになかった新しい「住まい」であり「住まい方」であるため実際に建設しその効果を体験する事が大事と考えていると共に、この施設を村の若者支援住宅として建設して活用して行く予定です。

 

新しい住まい方である「タイニーハウス」の普及の為、小菅村は今後も本事業を進めてまいります。皆様とともにこの事業を継続し、育ててまいりたいと考えておりますので、これからも皆様のご支援・ご協力よろしくお願い申し上げます。

 

受賞された皆様には心よりお喜び申し上げます。授賞式等の今後の予定は事務局よりメールにてご連絡申し上げます。しばらくお待ちください。また、惜しくも入選されなかった方々にも心より御礼申し上げます。小菅村では皆様とのご縁をこれからも大切にしてまいりたいと思います。引き続き小菅村をよろしくお願い申し上げ、御礼の言葉とさせて頂きます。


審査講評:

審査委員長 小菅村長 舩木直美

タイニーハウス小菅デザインコンテスト2018には短期間の募集にもかかわらず、登録者356名、応募者124名と予想を上回る応募を頂いたことに主催者として、応募を頂いた全員の方々に厚く御礼申し上げます。小菅村は人口730名の小さな村ではありますが「村の資源の活用と移住・定住の推進」を掲げ、色々な取組みを行っております。タイニーハウス事業もその一つであり、これからの住まいを、住まい方を変える事業と考えております。

 

当デザインコンテストも2回目を迎え、1回目とは違う作品が多数見られました。小菅村は村内の95%が森林です。この森林をいかに守り活用していくかは村の大きな使命です。この問題に対して色々な角度からの提案を頂きました。これらの提案を実現し、村の森林問題や住宅環境の改善・解決に繋げたいと思います。

 

応募者に関しては昨年度以上に専門的な方からの提案が多かったように思います。また、英文による告知がなかったにもかかわらず海外からの参加も見られたことはこのコンテストが世界からも注目されているのかなと感じた次第です。

 

作品に関しては今回のテーマに沿った森林資源や自然環境を直接、間接的に活用する案が多く見られました。審査員の配点も広く分散していた点も今回の特徴でした。(1次審査で1得点以上を獲得した作品は34作品もありました)

 

 

また、このコンテストの特徴である一般の方からも多数の提案を頂きました。技術的提案以外にタイニーハウスの活用法に対する提案なども見られました。ハード整備の視点だけではなくソフト整備の視点も取り入れていきたいと感じさせたコンテストでした。

 

今回は村長賞も含め8点の作品が選ばれました。それぞれに個性豊かな、素晴らしい、楽しい作品でした。応募いただいた全ての方に感謝申し上げ審査講評といたします。

 

最優秀賞

登録番号 DC8155 根岸 陽

 タイトル 凸凹ハウス 森に開かれた細長い家

 

建物を細長い形状にすることにより森林の中でも傾斜地でも効率よく建設する事が可能である。細長い形状により直角方向へのスペース拡大も簡単にできる。高さ方向への展開も、在来工法での建設も可能である。細長い平面を採用することによりさまざまな点を解決した点が評価された。高さの違う屋根が森の中に連なる、住んでみたいと思わせる家である。

 



優秀賞

登録番号 DC8240 蜷川 結

 タイトル 森に咲く家 森と踊る家

  

何もない空間の四隅に生活機能を持たせたL字ユニットを配置、扉を開閉する事により部屋の機能が変化する。小さな単一空間をL字ユニットにより多彩な空間に変化させるアイデア、ある時はリビング、ある時は大きなお風呂、ある時は書斎へと変える仕組みは今までにない家の形ではないだろうか。外部扉の開閉により開放的にも閉鎖的にも変える事の出来る家は森林等の気象環境の厳しい地域では有効な方法である。技術的な検討点は残るが新しい住まいを提案した点が評価された。



特別賞

登録番号 DC8049 高橋賢治+山本至

タイトル OFF-GRID LINK

  

住まいの機能を3分割しそれぞれの建物に自然エネルギーの活用システムを負わせた分散型のタイニーハウスの提案である。ユニットの組み合わせ方により単一住居だけでなく大人数での利用やタイニーハウスビレッジなどにも変化する。単一機能のユニットをリンクさせることにより多彩な空間を創出したアイデアが評価された。



特別賞

登録番号 DC8350 塩島康弘

タイトル NAGA-HOSO HOUSE

 

1.49m、長さ10.92mのガラスで覆われた透明な空間が森の景色と一体化していくようなデザインが評価された。住まいとして利用するには抵抗があるかもしれないがゲストハウスやホテルの様な非日常空間を求める要求にはぴったりの建物かもしれない。生活空間と非日常空間の違いにより評価が分かれたが、デザインの美しさで最後まで残った作品である。



YADOKARI賞

登録番号 DC8348 大西 洋

 タイトル SAUNA HOUSE 自然と遊ぶシェアするサードプレイスハウス

 

「自然の活用」と言う視点でサウナと小菅村の自然をかけ合わせる事によりSAUNA HOUSEという提案に至った。関係人口の増加、地域資源の活用や創出など、サウナハウスの建設のみならず、事業化への展開まで提案した点が評価された。タイニーハウスの小ささを活用した同じ様な提案は他にも見られたがその中で最も優れた案である。すぐにでも建設したい提案である。



村長賞

登録番号 DC8220 田中健昌

タイトル 週末東京 仕事小屋付オフグリッドタイニーハウス

 

小菅村の自然と立地を生かした、タイニーハウスによるテレワークを考えた提案である。小菅村で仕事や生活を楽しみながら、東京での生活も満喫しようとする欲張りな提案であるが、仕事改革やエネルギーの自給等をうまくかみ合わせて、やってみたいと思わせるユニークな提案である。個人にとても企業にとっても、小菅村にとってもメリットのある提案が評価された。実際小菅村にはこの様な生活を送っている家族もおり、いつでも実行できそうである。



村長賞

登録番号 DC8197 Thet Su Hlaing (タスーライ)

タイトル ZOOM-IN IN TO THE NATURE

 

 

この作品はタイニーハウスと自然とのかかわりはどうあるべきかを考察した提案で、自然への負荷を最小限とするため丸太基礎のデッキを設定、その上に木造の四角い箱を乗せた構造となっている。自然とのかかわりを強めるためのカメラのレンズのような仕掛けや東南方向からの採光を考えた配置となっている。事実、気候の厳しい小菅村では朝日が最も重要なエネルギーであり東西に延びた川を考慮すると正しい選択である。工法に対する提案がないものの、自然のビューを思いっきり楽しむ仕掛けが評価された。